Treatment 湯治


湯治の効果は様々な要因で起こります。

  1. 泉質そのものの効果
  2. 環境的効果;非日常的な環境で特に自然と触れ合うことで心が安らぐ
  3. 温熱効果
  4. 規則正しい生活リズム

何が一番自分に影響を及ぼすかは各個人や環境によるところが多いため、一概にどれが一番ということはできませんが、複合的に心身にいい影響を及ぼすことは、歴史的にみても確かです。

当時は概ね1週間を1巡りといい、2〜3巡りすることが普通でした。時間を作るのが難しい状況では2泊3泊の「プチ湯治」が現実的ではないでしょうか。

 

 

ぬる湯


心臓などへの負担が少ない。長湯ができ副交感神経が優位となるためリラックス効果が得られる。ストレスによる不眠や精神不安定性、肩こりなどが適応となる。

高温浴


刺激が強いために長湯はできないが、交感神経が活性化して元気が出る。新陳代謝が亢進するため血流の低下からくる症状に効果が期待できる。ただし負荷が強いため半身浴がオススメ。

飲泉


温泉成分を内側から吸収するために飲む。ミネラルが豊富な場合は飲む野菜のように用いられる。


物理的効果


一番大きい効果は、温熱効果です。体を温めるということは体に様々な変化を起こします。その他にもマッサージ効果や浮力、水圧などの物理的刺激が体に様々な変化を起こします。

温熱刺激


体を温めると様々な変化がこりますがその温度と時間によって変化は異なります。

  • 微温浴:38〜40度
  • 中温浴:40〜42度
  • 高温浴:42度以上

基本的に奨励されるのは41度の中温浴です。

温熱効果によって毛細血管が拡張して

  1. 血圧が下がります。
  2. ヒートショックプロテインが増える。
  3. 筋の緊張が低下する。
  4. コラーゲン繊維の伸張性が高まる。

但し高温浴は交感神経が活性化されるため心臓などに負担がかかり、注意が必要です。

また高温浴では血小板の凝集能力が高まるため、脱水と相まって血栓症のリスクが高くなります。高齢な方は、高温浴は脳梗塞、心筋梗塞の予防として積極的に避けましょう。

浮力


お臍までの深さで概ね50%、首まで入ると90%体重が浮力によって免荷されます。

関節が傷んでいる人や、体重が重すぎて負担がかかっている人にとっては浮力によって負担が軽くなるため、水中での運動がしやすいなどの利点があります。

 

但し、水圧との関係がありますので、心臓の機能が低下している人にとっては、深い水深は避けた方がいい事があります。

水圧


水の中だと水圧が常に体にかかって来ます。これは水深に比例します。

水圧は、抹消血管を圧迫して、静脈還流を増やし、心臓への負荷を高めます。

そのため、心臓の拍出量は増加し、一時的な心不全のような状態になります。

 

この場合、体は水分量を調整つしよと利尿作用を使い排尿を促します。

 

このため、高齢者や心臓の機能が低下している方には、深いところまでの入浴は控え、寝浴のように、浅いところでの入浴をお勧めします。


化学的効果


いわゆる泉質です。温泉には様々なミネラルが溶け込んでおり、その化学的な成分によって体に様々な変化が起こります。ただ、この変化に関しては危険性もあり、いわゆる西洋医学の薬剤などと比べると、病気を治療するという意味では薬剤を凌駕するほどのものではないことからあくまでの温泉の副次的な効果と考えたほうがいいと思います。

 

生物的効果


転地効果ともいますが、温泉によって環境的な因子によって、自律神経やストレス耐性、リラックス効果など心身に影響が出ます。この変化は視床下部、脳下垂体、副腎皮質などのホルモン系に影響を与え、主にリラックス効果が得られると言われています。

温泉は、泉質や温熱以外にも環境的な因子がとても重要であると言えます。

温泉療法医


一般社団法人日本温泉気候物理医学会が認定する、温泉療法の専門医を言います。全国に987名(2019年現在)が登録されています。

詳しくは学会のHPへ。

疾患別の温泉利用などについてもパンフレットにまとめられています。

こちからかもダウンロードできます。

 

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日本語版
あんしん・あんぜんな温泉利用のいろは.pdf
PDFファイル 8.1 MB
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英語版
The-ABCs-for-the-Safe-and-Secure-Use-of-
PDFファイル 7.3 MB